大阪高等裁判所 昭和28年(う)2507号 判決
弁護人の論旨は被告人等は選挙運動として印刷物を頒布したものではなく、国鉄労組政治連盟の会員として、その政治活動として文書を配布したものであるから無罪であると主張するのである。ところで、政党その他政治団体の政治活動は選挙運動期間中であつても、選挙運動にわたらない限り本来自由であるべきことは異論がない。しかし自由といつても、それが選挙運動に亘らないと言う制限の下に許される自由であつて、選挙運動とは「特定の選挙につき、特定の公職の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要且つ有利な一切の行為」をいうのであるが、その政治活動が選挙運動にわたるものと認められる限り公職選挙法によつて、規正さるべく、自由に放任されているものではない。所論公職選挙法第二〇一条の五の規定は衆議院議員総選挙に関する特例であつて、参議院議員選挙に適用のないことは所論の通りであるけれども、この規定は衆議院議員総選挙においては、政党その他の政治団体は、その政治活動のうち、政談演説会及び街頭演説の開催並びに宣伝告知のための自動車の使用及びポスターの掲示については、原則としては選挙運動期間中これをすることができないが、例外的に一定規模以上の政党に限り、右の政治活動を一定の制限の下に行うことができるものとされるに止まり、所論のようにその反面解釈として、衆議院議員総選挙以外の選挙において政治活動であるからという理由で同法第一四二条(文書図画の頒布の制限)第一四六条(文書図画の頒布につき禁止を免れる行為の制限)の適用を排除するものではない。ところで原判決挙示の証拠によると被告人等は、昭和二十八年四月二十四日施行の参議院議員選挙に国鉄労組政治連盟が推薦する候補者土門幸一(全国区)木戸好和(地方区)の当選を得せしむる目的を以て同月二十三日同人等の氏名又は反対する候補者の氏名を表示する印刷物を組合員に頒布した事実が認められるから、明らかに選挙運動であつて、たとえそれが団体の政治活動として上部機関の指示に従いなされたものであるとしても、同法第一四六条に規定する同法第一四二条の禁止を免れる行為として文書を頒布したものに該当し、その罪責を免れないのである。論旨は理由がない。